最近の就職ランキングではコンサルティングファームの人気が定着しています。若い頃から、問題解決思考を身に付け、経営課題に関わる経験が得られるという点でまずはコンサルティングファームへという流れは今後も続いていくのではないでしょうか。
では、コンサルティングファームへ就職した後は、どのようなキャリアパスが可能なのでしょうか?また、人生100年時代と言われるなかでどのようなキャリア戦略を描いていったら良いでしょうか?
今回は、外資系コンサルファーム、スタートアップ、フリーランスコンサルを経て、フリーランスコンサルのマッチングサービスを起業し様々なポストコンサル人材のキャリアにも接している筆者の観点で考えをまとめてみました。是非参考にしてみてください。
この記事は以下のような人にオススメ:
戦略・総合コンサルティングファーム在籍者又はOBで、今後のキャリアについて考えている人
その他、将来的にコンサルティングファームに就職を考えている人
この記事で学べること
コンサルティングファーム経験を活用したポストキャリアの選択肢が分かる
人生100年時代を見据えたフリーランスコンサルを通じたキャリア戦略の事例・メリットが分かる
目次
経営コンサルタント(戦略コンサル/総合コンサル)のキャリアパスとは
コンサルティングファームで感じる主な不満・不安
ポストコンサルキャリアの主な選択肢
"LIFE SHIFT"に学ぶポストコンサルキャリア構築の要諦とは
フリーランスコンサルを活用したハイブリッド・キャリア戦略
まとめ:自ら変化することを楽しむ
1. 経営コンサルタント(戦略コンサル/総合コンサル)のキャリアパスとは
1.1. 一般的なコンサルキャリア
まず最初にコンサルティングファーム(以下「ファーム」)を経由したキャリアパスとはどのようなものでしょうか。一般的にコンサルタントのキャリアパスといえば以下のチャートのように、ファームに新卒又は中途で入社し経験を積んだうえで、ファームで働き続けるのか、ポストコンサルキャリアのステージに進むという流れが考えられます。
本記事では、前半で一般的なコンサルキャリアパスを理解したうえで、後半で今後の新しいキャリアパス像を考えていきます。
1.2. コンサルティングファームで得られるもの
ポストコンサルを考えるうえでファームではどのような能力を身に付け、今後活かせるのかを今一度振り返ってみます。ファームでは、例えば以下のような汎用的な能力・姿勢を身に付けることが出来ますが、これらは業種やポジションに関わらず活用出来るもの、また、主体的にキャリアを構築し、独立・起業を行ううえでも非常に役立つ能力となります。
課題解決能力:課題や論点を構造的に整理する、仮説検証するアプローチで進める、必要なファクトを収集・分析し示唆を出す 等
プロジェクトマネジメント・コミュニケーション能力:プロジェクトゴール・目的を設定する、必要工数を見積もりリソースをアサインする、進捗や課題への対応方針を適時チーム内・クライアントとコミュニケーションする 等
リーダーシップ、プロフェッショナルマインド:プロジェクトゴールを達成するために必要があれば強い意志を持ってプロジェクトメンバーに働きかける、力づける。クライアントの期待を的確に読み、期待を超える成果・サービスを提供する
2. コンサルティングファームで感じる主な不満・不安
一方で、ファームで働くうえで以下のような不満や不安はポストコンサルキャリアを真剣に考えるきっかけとして良く聞かれるポイントになります。
2.1. 直接事業立ち上げ・経営経験を積みたい
ファームへの入社理由として、経営の上位レベルの課題解決を実戦する機会に恵まれ短期間に思考力やビジネス力を伸ばしやすいという点があります。ただし、クライアントからお金をもらいサービスを提供する側であることから、事業への関わり方が限定的(プロジェクトごとで関与スコープが定義される)であったり直接責任を持って経営にあたる/事業を立ち上げるといった経験を全てカバーするには限界があります。そのため、ファームの仕事を続けていくうえで事業会社で事業経験、経営幹部・マネジメント経験を積みたいと考えようになるケースは良く見受けられます。
2.2. 順調に出世しなかった場合のリスクヘッジ
ファームでは、順調に昇進した場合は経営幹部であるパートナーになりますが、実際になれるのは優秀な人材が集まる中でほんの一握りに過ぎません。このため、昇格前後のタイミングや、順調に出世できなかった場合には、ファーム以外でのキャリアを本格的に検討するタイミングとなります。
2.3. ワークライフバランスを改善したい
最近は働き方改革などで改善傾向にありますが、ファームではハードワークが求めらる傾向があります。成長機会として貴重であったとしても、ファームで何年か働く中でライフステージの変化から育児などの家庭との両立や、新しく何かを習う・勉強するなど仕事以外のプライベートとのバランスを取りたいと思うようになることは珍しくありません。このようにワークライフバランスを改善したいという想いからファーム以外のキャリアを検討し始めるケースも良く見受けられます。
3. ポストコンサルキャリアの主な選択肢
では、ポストコンサルキャリアとして考えられる選択肢はどのようなものがあるのでしょうか。前述のコンサルキャリアの概要に記載した各選択肢について見ていきます。
3.1. 大手事業会社:経営幹部・経営企画・事業開発職
ポストコンサルの選択肢として、大手事業会社の経営幹部(CxO、事業責任者クラス等)や経営企画・事業開発部門のポジションが考えられます。コンサルティングファームのクライアントは、比較的大手事業会社が多く、実際に働くうえでもこれまでの経験を活かしやすい点や、ライフワークバランスの観点でもファームに比べ改善しやすい点が魅力です。
一方で、一部財務力の高い外資系企業を除き年収ダウンするケースがある点や、コンサルタントとしての働き方・価値観に慣れていると事業会社との文化の違いや人間関係に慣れるのが難しいといったカルチャーフィットの問題が生じるケースがある点には留意が必要です。
3.2. ベンチャー・スタートアップ:CxO/経営幹部
ベンチャー・スタートアップでのCxO/経営幹部にチャレンジする選択肢が考えられます。ベンチャー・スタートアップでは、資金調達を前提としてスピード感を持って事業成長することが求められるためファームに比べてもよりスピード感や結果を出すことが求められます。そのため、じっくり考えたり、資料を作り込むよりもクイックに実行量を増やしてPDCAを回すことが求められるなどファームとは異なる筋力が求められる反面、直接経営に参画し、事業開発を行う経験を短期間に得ることができます。
ただし、ファームに比べると年収は低くなることが想定される点や、IPO出来なかった場合にストックオプション報酬が得られない、事業存続のリスクもあるという点で、比較的リスクの高い選択肢になる点には留意が必要です。
3.3. 投資ファンド
投資ファンド(PEファンドや、ベンチャーキャピタル等)への転職も人気の選択肢となります。投資先のソーシングや投資実行、バリューアップのため投資先への経営参画、売却までの一連の活動に従事することで企業経営の視点を俯瞰的に身に付けやすい環境が得られます。また、インセンティンブを含め比較的高額な報酬体系である点でも魅力的な選択肢となります。
一方、投資ファンドにおいては、どちらかというと経営実行メンバーというよりモニタリングがメインであったり、複数の投資先を担当するという点でも、直接経営や事業開発をしたいという想いが強い方にとってはフィットしない可能性がある点に留意が必要です。
3.4. 起業
コンサル出身者が起業するケースも人気を集めています。スタートアップ、ベンチャーのように資金調達を行いIPOを目指すケースもあれば個人でスモールビジネスを立ち上げるケースが考えられます。経営コンサルとして外部の視点で関わるだけではなく「自ら経営や事業立ち上げを経験したい」、スタートアップやベンチャーに転職するよりも「より自己裁量を持って取り組みたい」という方にはフィットする選択肢です。
起業の過程では、顧客は誰か、どのような価値を提供していくのかをゼロから考え、徹底的に顧客と向き合う機会となります。また、実際に事業を行う上で法人設立や資金繰り、マーケティング、法務など一人でカバーする範囲も自然と広くなります。このため、規模は小さくともより広範かつより実務的な実行経験を得ることができます。
3.5. フリーランスコンサル
最近ではフリーランスコンサルとして働く方も増えています。特にフリーランス場合には、どのような案件に従事するか、どれくらい働くか、何に時間を使うか等について自己の裁量が非常に高いという点が大きな魅力となります。米国では労働人口の約半分がフリーランスとして働く一方で、日本ではまだ10%にも満たない状況ですが国内においてもフリーランスの人口は増加傾向にあります。コンサルタント業界においても今後フリーランス人材は増加していくことが見込まれます。
フリーランスコンサルとして自由な働き方をしたい方、戦略/BizDev案件をお探しの方は是非当社サイトよりご登録ください。フリーランスコンサルの即時案件紹介・マッチング「SENJIN Platform」(現在、フリーランスコンサルの方に「独立へ向けた計画テンプレート」と案件獲得率向上につながる「職務経歴書サンプル」を無料でプレゼント中です)
4. "LIFE SHIFT"に学ぶポストコンサルキャリア構築の要諦とは?
このようなコンサルキャリアの選択肢があるなかで、今後は人生100年時代と言われるように、より長期視点でキャリアを構築していくことが求められます。
そこで、これからの長期的なキャリア戦略を考えるうえで、ベストセラーとなった”LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略”の視点を参考に経営コンサルのキャリアパスはどのようなものになっていくのかを考えていきます。
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
4.1. 人生100年時代で抑えるべき変化
まず、"LIFE SHIFT"において、今後のキャリアを考える上で特に抑えるべき社会の変化を見て行きましょう。以下の3つに要約することが出来ます。
変化①: 長寿化により人生100年時代へ突入する
変化②: テクノロジーの変化、産業の興亡のペースが加速する 変化③: 70・80代まで働く、マルチステージ人生が広まる
人類の長寿化により、従来の60代定年では老後資金を確保できない、又は刺激に欠けるため、80代まで働くことが普通になります。一方、テクノロジーの変化が加速することで企業の寿命はますます短くなります。このため、特定の企業で働き続けるのではなく複数企業を通じてキャリアを形成することが当たり前になっていくでしょう。
また、これまでの3ステージの人生(学校教育→労働→老後)は終焉し、新しいテクノロジーに対応できるようスキルを習得したり、生きることの活力や楽しみ充填する機会を作るなど長期の人生設計のもと様々なステージを組み合わせたマルチステージの人生が広がっていきます。
4.2. キャリア形成でこれから求められる"無形資産"と"ステージ"
これらの社会の変化を踏まえ、"LIFE SHIFT"では、以下のように「無形資産の獲得」と「新しいステージ」の生き方の重要性を提案しています。
提案① 長く生産的な人生を送るために「お金」と、以下のような「無形資産」のバランスを重要視しよう。
生産性資産:スキルや知識など所得を増やすのに役立つ資産
活力資産:家族との関係など肉体的・精神的な健康と幸福に関する資産
変化資産:変化と新しいステージへの移行を成功させる意志と能力
提案②不確実な時代では、多様な人生の選択肢を持つことが計り知れない価値を持つ。未知の分野にも積極的に乗り出し、経験・学習する機会を得るために新しい「ステージ」を活用しよう。
以下は本書であげらている「ステージ」の一例です。
エクスプローラー:自分にとって何が重要か、大切か、自分はどんな人間かを旅や多様な価値観に触れ探検・探求するステージ
インディペンデント・プロデューサー:職を探すのではなく、自分の職を生み出すステージ。組織に雇われず独立して生産的な活動に時間を費やすことで学習や無形資産を構築する。
ポートフォリオワーカー:異なる種類の活動を複数の目的・動機付けのもと同時に行うステージ。様々な可能性を探索、実験する。
4.3. コンサルキャリアへの示唆
これらの着眼点を踏まえると、今後はどのような企業・業態の仕事に就くのか転職するかよりも、どのような無形資産をどういったステージのもとで構築していくかという戦略的な視点が人生やキャリアを充実させるうえで重要になっていくでしょう。
人生において複数のステージを組み合わせたり、一つのステージでも複数の分野をポートフォリオのように組み合わせるような選択肢も「無形資産」の獲得や人生の可能性を広げるための戦略として自然になってくると考えられます。
それでは、具体的にコンサルキャリアにとってはどのような選択肢が可能になるのでしょうか?その一つの方法として、「フリーランスコンサル」の立ち位置を利用したキャリアが考えられます。弊社SENJIN Platformの運営メンバーや、登録されている多数の「フリーランスコンサル」の方のキャリア例なども参考に新しいコンサルキャリアのありかたを考えてみましょう。
5. フリーランスコンサルを活用したハイブリッド・キャリア戦略
5.1.フリーランスコンサルだから出来るハイブリッド・キャリア戦略
弊社SENJIN Platformには、戦略や事業開発経験を豊富に有するファーム出身者の方が多数登録されていますが、フリーランスコンサルとして100%案件で稼働するというよりも50%でフリーランスコンサルの案件を従事し、その他50%を他の活動に関与しているケースが多くを占めています。また、年間を通して一部の期間のみ稼働される方もいらっしゃいます。
つまり、メインとなるキャリアを複数同時並行で経験していくというハイブリッドなキャリア戦略を採用しているのです。この戦略には以下のような利点があります。
収入の分散化・基盤を構築できる: 例えば、スタートアップなどに転職した際に、現状の仕事内容は満足しているものの収入がファームに比べて少ない点を改善したいという場合に、スタートアップの仕事を50%、高単価な報酬が見込めるフリーランスコンサルの案件を50%稼働することで生活面でも経験面でも満足度を上げられるケースが考えられます。この点、フリーランスコンサルがいくら稼げるのかについては、「【会計士考察】フリーランスコンサルの年収・手取りアップの極意」の記事にまとめていますので参考にしてみてください。
短期間に実務経験を蓄積・多様化できる: フリーランスコンサルの案件で、先端テーマなどに関わる新規事業開発経験などを積むことで一つの会社に在籍するよりも多様な実務経験を積むことが出来るため個人の実績として価値を高めたり、将来に繋がる人的ネットワークを構築することも可能です。また、フリーランスコンサル案件と組み合わせて、スタートアップなどの事業にも関与することで経験の蓄積・多様化することが可能になります。
無形資産を効果的な獲得できる: フリーランスコンサルの案件で生活費は稼ぎつつ、仕事に関わらず、特定テーマで学び直す、人的なネットワークを広げる、家族と過ごす時間を増やし充電するなど人生を充実させるために時間を使うことも自由に選択が出来るという点で効果的に無形資産を獲得することが可能になります。
5.2. ハイブリッド・キャリア事例
ここでは、特に戦略や事業開発に関わるフリーランスコンサルの方のハイブリッド・キャリアの事例で多いケースを紹介します。
事例1. 起業とフリーランスコンサルの並行キャリア
起業と並行しフリーランスコンサルの案件で経験や収入を獲得していくケースとなります。起業直後は売上を立てて自分自身への報酬を支払えるようになるまで時間がかかるものです。フリーランスコンサルの案件で生活費を稼ぐ形であれば、生活への不安を解消することができ、かつ起業の芽がでるまで時間をかけることも可能になります。特に自分自身で起業することで机上の空論ではなく実戦的な考えや動き方を身に付けられるということでコンサルタントとしての力や市場価値も自然と伸ばすことができます。
事例2. 本業に加えてフリーランスコンサルを兼任するキャリア
近年では、副業や兼業を認める企業も増えています。フリーランスコンサルの案件のみで継続的に稼ぐことは不安である、又は、本業の収入や経験のみだけでは少し物足りないという方は、ある程度本業として継続的に関わる仕事を持ちながらタイミングを見てフリーランスコンサルの案件にチャレンジすることで収入や経験値を高めることが可能です。特に、ポストコンサルの選択肢となるスタートアップ、事業会社、ファンドなどに勤務の方も場合によっては兼業が認められるケース、又は個人事業主として契約することで兼業を認めてもらえるケースがあります。
事例3. リカレント教育を受けながらフリーランスコンサルとして働くキャリア
リカレント教育とは、社会人になった後も、必要なタイミングで教育機関や社会人向け講座に戻り、学び直すことを指します。社会人として一定の職業経験を経たうえで更に、将来どうなっていきたいかを考えた際に、まとまった時間を捻出して特定の教育を受けることも可能です。この場合、学業を優先し、フリーランスコンサルの案件は生活費を得る程度にとどめる形で稼働するなども可能です。例えば、MBAで経営学修士を獲得する、外国語やプログラミング・ITを学習する、リーダーシップやコーチングを本格的にトレーニングを受ける、また、実際に教える側に回るというのも特定の知識やノウハウを獲得するだけではなく、同じ目的を持った仲間とのネットワークが構築にもつながり人生における「活力資産」を高めることにも大いに繋がるでしょう。
6. まとめ:自ら変化することを楽しむ
今回は、ファーム出身者のキャリア戦略について考えてみました。良い人生・キャリアとは何かについては答えのない世界、そして個人ごとに感じ方も異なるものです。ただ、人生100年時代という長期、かつ変化の激しい人生においては、色々な機会にチャレンジする、変化を恐れずまずは試してみるということがより良い機会を見つけるうえで重要になってくるのではないでしょうか。
特に「フリーランスコンサル」だからこその自由度、チャレンジできる経験の幅を活用することでより人生・キャリア充実度を深められる可能性があります。ぜひ、様々な選択肢を検討され今後の人生・キャリアを見直すうえでのきっかけになれたら幸いです。
特に、フリーランスコンサルとして様々な自由な働き方をしたい方、戦略/BizDev案件をお探しの方は是非弊社のサイトよりご登録ください。フリーランスコンサルの即時案件紹介・マッチング「SENJIN Platform」(現在、フリーランスコンサルの方に「独立へ向けた計画テンプレート」と案件獲得率向上につながる「職務経歴書サンプル」を無料でプレゼント中です。)